ポールアンダースン著
SF古典として時間旅行を題材にしているが、過去を変える事を取り締まる警察を描いた史上初の作品。
その影響はドラえもん、シュタインズゲートと日本アニメにも強く影響を与えている。
点数は78点
ストーリーはアメリカ人がとある仕事の面接をする事から始まる。
その仕事がタイムパトロールである。
今より数万年後に時間移動をする術が発見され、それを悪用して歴史が変わらないように監視する事を任務としている。
仕事内容は今住んでいる時代にて新聞やらを使って情報を集めて、時間に干渉されたと考えられる不思議な事件を調査する。
発見した事件のあった時代に行き、調査し、問題があれば解決。
探偵小説として最初は楽しめる。
続いて、友人が過去へ行ったきり戻ってこないと聞き調査をする。
そこでは時間の不思議な修復作用を目撃することになる。
その修復をさらに改善する事になる。
最後に、時間の改変に成功した組織が出てきてしまうとどうなるのか?
それが描かれている。
時間の流れをどのように移動して、調査し改善するのかが理論的に説明されていく過程がすごい。
2025年現在でもここまで時間について考えて設定してあるのはドラえもんぐらいしかない。
JINや信長協奏曲などのタイムトラベルの元としてみると違いも分かりやすいかと思います。
タイムトラベルの作中で主人公の友人が歴史上の重要人物に成り代わっている話があります。
作中の友人は歴史上の人物として10年以上過ごしている時に主人公が調査に現れます。
そこで、友人は歴史上の人物になる前に助けにタイムトラベルをして欲しいと頼みますが主人公は拒否します。
主人公は今話している友人になる前に助けた場合、助けられなかった10年はどうなるのか?
そして、今目の前にいる友人がどうなるのかと尋ねて助けに行く時間を変えたりしません。
あくまでも、友人は一度は歴史上の人物として過ごしてから救出される必要があるのです。
それでも、今の友人が歴史上に必要である事は変える事ができません。
歴史の目を騙すために、主人公は一計を立て友人を救う事に成功します。
しかし、友人が過ごした10年の出来事は友人の記憶にだけ残り元の歴史に戻る事になります。
この辺りが頭の中で整理しにくいですね。
シュタインズゲートを知っていると世界線を超えて正しい世界線へ行く事に成功するのと同じだと思い当たるかと。
シュタインズゲートなどリピートするのは同じ時間で違う行動をしたらどのように変化するのかがファンタジーとして描かれている。
それに対してタイムパトロールではリピートはできない、一度限りで調査して改変されるのを止めなければならない。
そして、改変されてしまったならば再度改変を阻止しなければならないのも一度限りのチャンスしかない。
何度でもやり直しが出来るなんて都合の良いファンタジーでは無い。
ある意味人生は一度きりであると理論的に解釈されています。
物語の順番も程よいですね。
まずはタイムトラベルとはどのようなモノなのかを語り
次に少し改変される余地がある事を語られる。
最後には改変が成られるとどうなってしまうのか。
最後は映画バック・トゥ・ザ・フューチャーを見てみると映像としてすぐに理解出来るでしょう。
物語構成は順番に分かりやすく、最後はハラハラドキドキする展開にもなる冒険物語。
85点ぐらい付けても良いと考えるのですが、面白さでは映画バック・トゥ・ザ・フューチャーやアニメのシュタインズゲートなどより劣るのと読むのに苦労するため78点としています。
タイムトラベルを題材とした作品が好きな人にはオススメの一冊です。