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99点から30点に変化した訳
そもそも現代貨幣理論とは何か?以下に引用します。
MMTは「Modern Monetary Theory」の頭文字を取ったもので、現代貨幣理論のことです。通貨発行権を持つ国家は債務返済に充てる貨幣を自在に創出できることから、「財源確保のための徴税は必要ではない」、「財政赤字で国は破綻しない」、「インフレにならない限り国債はいくら発行しても問題はない」とするものです。 MMTはケインズ経済学の流れを汲むマクロ経済学理論のひとつで、「政府の財源は税と債券発行によって調達すべき」、「赤字拡大が続けば国は破綻する」という主流派経済学の見方に対抗しています。
これを初めて知ったとき、「お金をいくらでも発行して良いなんて、これで日本は蘇るかも!?」とすごく感心しました。そのため最初は99点と評価しました。
しかし、他に知識を深めるうちに、この理論は問題が多いのではないかと考えるようになり、評価を30点に変更しました。知っておく価値はありますが、日本を救うというのは現実的ではないと思います。
理論の検討
まず、政府の負債は国民の所得です。つまり、負債として紙幣を発行すれば国民の財産が増えると考えられます。ですが、アベノミクスでは紙幣発行が行われまていましたが、国民の資産が増えたわけではありません。
そもそも、お金とは何か?
MMTでは現代の銀行システムを元に説明されています。銀行がAさんに100万円を貸し、Bさんが銀行に100万円を預け、そのお金をDさんに貸し出すことで資産が増えていくという仕組みです。しかし、この説明は一部正しいものの、重要な点が抜けています。
お金の歴史
お金の歴史を振り返ると、最初のお金は貝殻や物物交換の初期に使われた物でした。江戸時代には米が武士の給料として使われ、第二次世界大戦後にはチョコレートと家が交換されることもありました。
現代の紙幣の起源は、大航海時代のフランスやイギリスです。銀行は商人の金貨を預かり、証明書を発行しました。これが現在の銀行券の原型です。金貨を預けた証明として発行された銀行券が、新しい利益を生む先行投資として使われました。これが国債や社債の起源です。
その先行投資も後に返済が必要である。この返済により銀行が儲かる。また、商人が先行投資を元手に事業を成功させて儲かるように、国も同じように儲ける必要があります。
その実例として国の貸借対照表で利益が国富として存在しているのです。
また、日本でも金貨を預かり銀行券を発行するという手順が踏まれています。
江戸時代に小判1枚を預かる代わりに1円札の銀行券を発行しています。日本の市民としては元手小判で銀行券を発行し、さらに投資をすることで小判の勝ちを増やし続けている状態です。
MMT理論の何も無い所から銀行が銀行券を発行している訳ではありません。
1枚の小判の価値を一円に十円に、一千円、一万にとインフレさせて経済を発展させているのです。
アベノミクスの失敗と反証
MMTの理論によれば、国債は利益を生む投資として発行するのが理想です。アベノミクスでは日本銀行券を株式投資に集中させましたが、これは市民や企業の利益にはつながらず、失敗と考えられます。
海外の投資家から日本の会社の問題点として他社株を保有することをお金の流動性が悪いと非難されている事例があります。2024年にアシックスが関連会社の株を売却することを表明し話題になったことです。
それと同じく日本銀行がETFや日本の株を買っても株価は支えられるし日本銀行としては株の利益があり儲かるでしょうが、流動性が悪く日本企業の利益や国民の利益に繋がる事がなく。経済発展を止めている原因の一つと考えられます。
また、経済発展の悪い別の原因として日本は内需の国であるとの見解もありますが、バブル経済の引き金となったプラザ合意を考えると、為替レートの影響は大きく内需だけでは説明が付かない外需要因でバブルが発生している点です。また、ベトナム戦争など戦争特需も日本経済に大きな影響を与えている点も外需要因が強く内需の国であると見解を弱める点である。
現代貨幣理論の評価
今後も知識が増えることで評価が変わる可能性はありますが、現時点ではMMTは現実的な理論とは言い難いと結論付けました。いくら国債を発行しても、経済戦争に勝てなければ意味がありません。日本の企業として代表のソニー、トヨタ、任天堂などが海外で需要があるのが救いです。
MMTはいくらでも国債を発行しても良いというものではなく、利益を生む投資として発行することが前提です。アベノミクスの評価も、将来的には変わるかもしれませんが、現時点では悪い評価です。
結論
MMTは空想の理論であり、現実的な経済政策としては不適切です。国債発行には利益を生むという信頼が必要です。MMTの理論を正しく理解し、現実に即した経済政策を考えることが重要です。