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七夜の願い星 ジラーチ
評価: 85点
「ポケットモンスター」シリーズは1996年にゲームボーイ専用ソフトとして誕生し、瞬く間に人気を集めました。その後、青、黄色、金、銀と続き、2024年現在でも続く大人気ゲームです。1997年にはTVアニメも放映され、さらに人気を拡大。そして1998年には初の映画「ミュウツーの逆襲」が公開されました。今回紹介するのは、2003年7月19日に公開された映画6作目「七夜の願い星 ジラーチ」です。
この映画と同時期には、ゲーム『ポケモンコロシアム』やゲームボーイアドバンスSPの限定エディションが発売されました。
興行成績と評価
本作の興行成績は前作を大きく上回り、45億円を達成。映画館では、登場する伝説のポケモンがゲームでプレゼントされるという手法が導入され、この方法は次作以降も続くことになります。配布ポケモンの影響か、映画そのものが面白いからかは判断が難しいですが、「再度映画館で観たいポケモン映画」の一つとして人気が高いことは確かです。
あらすじ(ネタバレ注意)
サトシの仲間はタケシ、ハルカ、マサトです。1000年に一度、7日間だけ夜空に現れる「千年彗星」を見るため、サトシたちは草原にやってきます。そこに現れたサーカス団のマジシャン、バトラーが伝説のポケモン・ジラーチについて語り、マサトはジラーチのパートナーになります。
しかし、バトラーはジラーチの力を使って伝説のポケモン・グラードンを復活させようと企んでおり、それに気づいたサトシたちはジラーチを連れて逃げます。最終的にジラーチはバトラーに捕まり、グラードンの姿をした怪物が復活しますが、サトシたちとバトラーが協力して怪物を退治します。七日間が過ぎ、ジラーチは再び眠りにつき、サトシたちは旅を続けることで物語はハッピーエンドを迎えます。
感想と考察
今作のテーマは「兄弟愛」。ハルカとマサト、そしてジラーチの絆が物語の中心となっています。ハルカが一日一個の星を折るシーンは印象的で、何を祈っていたのかは明確にされていませんが、そのシーンが物語に深みを与えています。
また、悪役バトラーは憎めないキャラクターで、彼にもパートナーのダイアンがいます。彼の動機や過去が描かれることで、単なる悪役ではなく、より複雑な人間性が感じられます。バトラーはポケモン研究に取りつかれたキャラクターで、彼の過去や失敗が物語に反映されています。
監督がバトラーに自身を投影しているという見方もあります。ポケモン映画を家族のために作り始めたものの、周囲の評価を気にしすぎてしまい、家族との絆が危うくなる。その後、サトシに諭されて再び和解するという流れは、過去作「結晶塔の帝王 エンテイ」とも共通するテーマです。
「結晶塔の帝王 エンテイ」以降監督が描きたい家族をテーマにした作品は最終作まで続くため今後も楽しめることでしょう。
まとめ
「七夜の願い星 ジラーチ」は、悪役にも成りきれないバトラーが力を求め、中途半端な結果に終わりながらも再出発する物語です。兄弟愛とジラーチの可愛さが描かれており、敵も味方もキャラクターがしっかりと立っている点が魅力です。配布されたジラーチは、多くの人にとって大切な存在になったことでしょう。