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裂空の訪問者 デオキシス

裂空の訪問者 デオキシス

評価: 90点

「ポケットモンスター」シリーズは、1996年にゲームボーイ専用ソフトとして誕生し、瞬く間に人気を集めました。赤・緑のバージョンから始まり、青、黄色、金、銀と次々とリリースされ、2024年現在でも大人気ゲームとして続いています。1997年にはTVアニメも放送開始され、さらに人気が拡大。1998年には初の映画「ミュウツーの逆襲」が公開されました。今回紹介するのは、2004年7月17日に公開された映画第7作目「裂空の訪問者 デオキシス」です。

目次

ゲームのリリースと映画公開の背景

この映画の公開と同時期に以下のゲームも発売されています。

  • 1月29日 – ポケットモンスターファイアレッド・リーフグリーン
  • 9月16日 – ポケットモンスターエメラルド
  • 9月16日 – ゲームボーイアドバンスSPレックウザエディション
  • 12月2日 – ニンテンドーDS

興行成績と評価

本作の興行成績は43.8億円を記録し、シリーズの中でも高い評価を受けています。魅力的なポケモンであるデオキシスとレックウザによる迫力あるバトルシーンが、多くの観客を魅了しました。

あらすじ(ネタバレ注意)

物語はサトシ、タケシ、ハルカ、マサトがハイテク都市「ラルースシティ」に訪れるところから始まります。彼らは「バトルタワー」でのポケモンバトルを目的に訪れますが、そこでトオイという少年と出会います。トオイは過去に氷原でデオキシスが落下する場面に遭遇し、ポケモンに触れることに恐怖を感じるトラウマを抱えています。

その後、デオキシスが復活してシティに現れ、さらにデオキシスを追ってレックウザも出現。デオキシスはシティをバリアで覆い、街全体が混乱に陥ります。サトシたちは、トオイのトラウマを克服させながら、街の平和を取り戻そうと奔走します。

実は、デオキシスは2匹存在し、シティにいるもう1匹のデオキシスを探していただけでした。サトシたちは眠っていたもう1匹のデオキシスを目覚めさせ、レックウザとの戦いを止めることに成功します。トオイもポケモンとの触れ合いを通じてトラウマを克服し、物語はハッピーエンドを迎えます。

考察と感想

物語の舞台となる「ラルースシティ」は、カナダのバンクーバーがモデルとされていますが、もう一つのモデルとして、アイザック・アシモフのSF小説「鋼鉄都市」が考えられます。以下の理由から、鋼鉄都市との類似性が見受けられます。

  1. 移動方法の類似
    ラルースシティではエスカレーターが設置されており、移動は自動走路を利用します。鋼鉄都市でも同様の自動走路が登場します。
  2. ドーム型のバリア
    デオキシスがシティを覆うバリアは風すら通さない完全な遮断です。鋼鉄都市でも、街全体がドームに覆われています。
  3. 宇宙からの訪問者
    本作では、宇宙からやってきたデオキシスが登場しますが、鋼鉄都市でも宇宙人が殺害される事件が描かれています。
  4. 人外のパートナー
    トオイのパートナーであるプラスルとマイナンはポケモンですが、鋼鉄都市では主人公のパートナーはアンドロイドです。
  5. 走路の逆走シーン
    本作では、ロンド博士が街の走路を逆走するシーンが描かれますが、鋼鉄都市でも主人公が追跡者を振り切るために走路を走り抜けます。
  6. 街の管理者の暴走
    最終的に、本作では街を管理するロボットが暴走し、サトシとトオイがそのロボットを停止させます。鋼鉄都市でも、都市を管理する上司が事件の犯人として明かされ、主人公が解決に導きます。

これらの要素から、本作は「鋼鉄都市」へのオマージュが含まれていると考えられます。

最後に

視覚的な要素としても、本作ではデオキシスが赤と青の2体存在し、プラスルとマイナンの色合いともリンクしています。また、サトシたちの行動やゴンベのエピソードがデオキシスの行動と重なる点も、物語の深みを増しています。

親子のテーマも本作の見どころの一つです。特に、エンテイ以降の映画では家族問題が描かれることが多く、本作でもその要素としてトオイ、ロンド博士、ユウコとして見られます。お父さんが情けない部分でお母さんと子供の頑張りは実際の監督の家族関係が反映されているかと考えるのも楽しみの一つです。デオキシスやレックウザの迫力あるバトルシーンも楽しめ、視点を変えることでさらに深いテーマを感じ取れる映画です。

まとめ

「裂空の訪問者 デオキシス」は、デオキシスとレックウザの壮大なバトル、鋼鉄都市へのリスペクトを含んだ舞台設定、そして親子の物語が織り交ぜられた素晴らしい作品です。視覚的にも物語的にも楽しめるこの映画に、90点という高評価を付けました。

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