映画

オッペンハイマー

オッペンハイマー

評価:70点


目次

あらすじ

第二次世界大戦中、優れた物理学者ロバート・オッペンハイマーは、米政府の「マンハッタン計画」で原爆開発プロジェクトのリーダーに任命されます。しかし、原爆の実験成功と、それが実際に戦場で使用された結果を目の当たりにした彼は、その破壊力に大きな衝撃を受けます。戦後、さらなる破壊力を持つ水素爆弾の開発が進む中、オッペンハイマーはそれに反対する立場を取るようになりますが……。


感想(ネタバレあり)

物語は、第二次世界大戦中と戦後という2つの時間軸で進行します。戦後の1954年には、オッペンハイマーがソ連のスパイ容疑で秘密聴聞にかけられ、1956年にはストローズの公聴会が行われます。これらの出来事を背景に、第二次世界大戦中のオッペンハイマーの生涯が回想される形で進むのです。


物語のハイライト:マンハッタン計画

この映画で最も衝撃的なシーンの一つが、マンハッタン計画の描写です。当時、ドイツに技術的に遅れを取っていたアメリカは、劣勢を挽回するために、オッペンハイマーの提案を受けて、一つの街を丸ごと作り上げるという大胆な計画を実行します。この街づくりの過程は非常に見応えがあり、宇宙開発競争にもつながる壮大なプロジェクトを描いています。


圧巻の原爆テストシーン

そして、いよいよ迎える原爆のテストシーン。映像美が非常に優れており、映画館で観なかったことを後悔するほどの迫力です。日本人の視点からすれば、これは恐ろしい「悪魔の実験」と映るかもしれませんが、アメリカの立場からは、ドイツや共産主義との「聖戦」における必要な実験だったと描かれています。この視点の違いが映画全体に重厚なテーマを与えています。


戦後のスパイ容疑と共産主義への恐怖

オッペンハイマーの周囲には、共産主義者が多数存在しており、これが彼が戦後にソ連のスパイ容疑をかけられる一因となります。アメリカの英雄であっても、共産主義の疑いがかけられると捕まる可能性があることは、当時のアメリカがいかに共産主義を恐れていたかを物語っています。

では、なぜアメリカはこれほどまでに共産主義を恐れたのか?その答えを完全に理解するには、この映画だけでは足りません。筆者の知識不足もありますが、この点に関しては今作では深掘りされておらず、歴史的な背景を知ることが必要です。現在でも、アメリカは中国やロシアといった共産主義国家を警戒し続けていますが、そのルーツは第二次世界大戦前から始まっているのです。


日本への原爆投下の決断

ドイツが降伏し、戦争終結が見え始めたアメリカ国内で、オッペンハイマーは日本への原爆投下を推進します。しかし、その裏で進行していたのが「ダウンフォール作戦」。もし原爆が完成していなければ、日本本土への侵攻が進み、さらなる犠牲者が出た可能性がありました。この背景を理解することで、物語の奥深さがさらに増します。


まとめ

『オッペンハイマー』は、第二次世界大戦を通じてオッペンハイマーの人生を追体験できる作品です。特に映像美は素晴らしく、一見の価値があります。しかし、第二次世界大戦に関する知識が少ないまま鑑賞すると、映画の全体を100%楽しむのは難しいかもしれません。その点を考慮して、評価は70点としています。

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